2008-09-13 17:07:56

「ヨーロッパ文化の源泉は神の追求」教皇、パリで講演


フランス司牧訪問中の教皇ベネディクト16世は、12日午後、パリ市内のコレージュ・デ・ベルナルディンで学術文化界の人々との出会いを持たれた。

中世建築様式の美しいコレージュ・デ・ベルナルディンは、1245年、クレルヴォーのシトー会修道院長エティエンヌ・レキシントンが神学研究所として創立した。フランス革命中に没収され、その後、監獄や倉庫、学校、兵舎などに使用された。現在はパリ教区の文化研究センターとして再び公開されている。

教皇との集いには、アルバネル文化相、ジスカールデスタン元大統領、シラク前大統領をはじめ、フランス文化界からの約700人、およびユネスコ関係者、イスラム教代表者らが参加した。

この席で教皇は「西洋神学の起源とヨーロッパ文化の源泉」というテーマで講演を行なわれた。

会場コレージュ・デ・ベルナルディンが髣髴させるように、修道生活が貴重な伝統文化の宝庫としての役割を果たしてきた時代を思い起こされた教皇は、西洋修道文化の本質とは何かを再考することで、ヨーロッパ文化の源となっているものに光を当てられた。

教皇は修道生活の目的を一言で「神の追求」と述べられ、神の追求とは、時代の潮流の中で永久に変わらないもの、命そのものを追求することであると話された。

神の追求は、神をより知りたいとの目的から、神のみ言葉の追求となる。教皇は、み言葉の研究が、言語そのものの研究に、さらには神に奉仕することを学ぶという最終的な目的のために、それがより広い博学的知識の習得に発展していった経過を示された。

また、み言葉は自分だけでなく他の人々への注意を促し、同じ信仰を歩む人々との交わりに導くことから、神の追求は共同体への関心へとつながっていったとも指摘。

さらに、み言葉は人を神との絶え間ない対話に招くが、特に詩編は神との対話に適した、祈りに欠かせないものとして、それに伴う音楽的発展が続き、その音楽は天上の音楽と調和するべく崇高なものへと昇華されていった様子を語られた。

一方で、祈りと共に修道生活のもう一つの柱である「労働」にも言及された教皇は、創造される神、その創造のみ業に共に参加するという意味で、手仕事、作り出すということはキリスト教修道生活の基本をなすものであったことを紹介。

このように、修道生活に代表される、み言葉の文化、そして労働の文化の双方が、ヨーロッパ世界の発展と形成に欠かせないものであったと説かれた。

アテネで宣教した聖パウロは人々から「外国の神々を宣伝する者」(使徒言行録17、18)と言われたが、これに対してパウロはアレオパゴスの説教で、同地には「知られざる神に」と刻まれた祭壇さえあることを指摘しながら、「あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それをわたしはお知らせしましょう」と説いた。

聖パウロの時代とは状況が異なる現代でも、神が「偉大な知られざるもの」であることに変わりはないと述べた教皇は、神についての問いを科学的でないという理由で退けてしまう文化が高度な可能性とヒューマニズムを喪失してしまうことを懸念されつつ、「神の追求」は今日もあらゆる文化の基礎であり続けると強調された。







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