2008-05-15 18:07:58

教皇、中国の地震犠牲者のために祈られる、一般謁見
 


教皇ベネディクト16世は、バチカンで14日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。

この席で教皇は、中国四川大地震による多数の死者・行方不明者、大規模な被害状況を憂慮され、すべての犠牲者のために深い祈りを捧げられた。教皇は震災下の厳しい試練に置かれた人々への精神的一致を示されると共に、救援活動にあたる人々に神の支えを祈られた。
謁見中のカテケーシスで教皇は、6世紀の著作家で、アレオパゴスのディオニシウス(1世紀)を名乗るために、偽ディオニシウスとも呼ばれる神学者を紹介された。

教皇は6世紀に活躍したと考えられるこの作者が、なぜ使徒時代の人物で、使徒言行録17章に登場する聖パウロの弟子、アレオパゴスのディオニシウスの偽名を用いたのかについて考えながら、これはギリシャ的叡智を福音に奉仕させつつ、一個人の名のためではなく教会全体のために著作したいという謙遜の行為のゆえではなかったかと推測された。

一方で、偽ディオニシウスの時代が6世紀頃と仮定される理由は、その著作がネオ・プラトニズム主義を背景にしつつキリストの真理を説いている点にあるとされた。

教皇は偽ディオニシウスの著作の特徴として、あらゆる被造物は神を賛美するものであり、神は考察の中だけでなく特に賛美することの中に見出されるという、典礼神学的・神秘神学的な性格を指摘された。

また教皇は、偽ディオニシウスはギリシャ哲学と福音を対話させる中で、神はすべての概念を凌駕するものであるがゆえに、「神は何でないか」を定義することによって神の理解・表現にせまろうとする「否定神学」を構築したことを紹介。偽ディオニシウスは、神への道は最終的に神そのものであり、その神はイエス・キリストにおいて私たちの間におられるということを示している、と教皇は説かれた。

教皇はさらに、偽ディオニシウスが中世哲学に与えた大きな影響、また彼が今日キリスト教とアジアの神秘神学の間の対話に果たす役割などについて話された。







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