2008-03-13 15:04:51

ボエティウスとカッシオドルスを考察、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、バチカンで13日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。

謁見は2会場で行なわれ、教皇はまず聖ペトロ大聖堂に集ったイタリア各地の学生の巡礼団にお会いになった。

生徒や教師らへの挨拶で、教皇は今日ますます大きな挑戦を受けている学校教育について触れ、学校はただ知識を習得させるだけではなく、文化・社会・倫理・宗教的なメッセージを考察する機会を与えるよう招かれていると強調された。

人間は行動のために知識を求め、行動は知識の産物であるがゆえに、教師らは教える事柄の倫理的側面に留意すべきと教皇は述べると共に、生徒らには、急速に変容する社会の中で信仰の意味を考えながら精神的成長を続けて欲しいと励まされた。

教皇は続いてパウロ6世ホールでカテケーシス(教会の教えの解説)を行なわれ、この日は、西ローマ帝国崩壊後の社会・文化的変動の中を生きたキリスト教著述家、ボエティウスとカッシオドルスの2人を取り上げられた。

ボエティウスは、480年頃、ローマの貴族の家系に生まれ、若くして元老院議員となった。公的生活のかたわら、哲学・宗教をはじめ、数学、幾何学、音楽、天文学などの研究を続け、その多くの著書を通して偉大なギリシャ・ローマ文化を新しい世代に伝えようと努力した。

当時の社会の中に入りつつあった東ゴート文化と、ローマの古典文化の出会いと融合を推進した彼は、ギリシャ・ローマ哲学とキリスト教の福音のメッセージの統合を試みた人でもあり、そのためにボエティウスは古代ローマ文化最後の、そして中世文化の最初の知識人と見なされていると、教皇は説明された。

ボエティウスは当時のイタリア半島を支配していた東ゴートのテオドリックのもとで政治家として活躍していたが、友人である元老議員アルビヌスの弁護をしたことで、テオドリックより反逆加担の嫌疑で投獄され、524年、処刑により悲劇的な最期をとげた。

教皇はボエティウスが不正な投獄という非常に苦しい体験の中で記した著書「哲学の慰め」を紹介され、彼が獄中で慰めと光と知恵を求めながら、正真の友情など本当の善を見出し、その善の中で最高のものは神であることを確信していく姿を見つめられた。

また、教皇はボエティウスの同時代人、カッシオドルス(485-580頃)を考察。

カッシオドルスはボエティウスと同様、政治家・文化人として活躍しながら、新しい時代の中で古代ローマの人間遺産が継承されるよう努め、文化の対話と和解に邁進した。

教皇は、特に修道生活という土壌に古代の文化と霊性の豊かさを伝えようとした、カッシオドルスの摂理的確信に注目。彼が修道生活における単純労働と知的労働の両立、祈りと聖書研究の推進に与えた影響に触れられた。







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