2008-01-08 13:54:01

「世界に希望をもたらす外交を」教皇、各国大使らに


教皇ベネディクト16世は、7日、バチカン駐在の外交団と新年の挨拶を交換された。

この日、教皇宮殿には、バチカンと外交関係を結ぶ176カ国および欧州連合、マルタ騎士団、また特別外交関係にあるロシア連邦、パレスチナ解放機構、そして国連の各機関などの代表が一堂に会した。

外交団主席、サンマリノ共和国のジョヴァンニ・ガラッシ大使の挨拶に続き、教皇は外交官らへの言葉を述べられた。

この中で教皇は、今年の世界平和の日メッセージ「人類家族、平和の共同体」に強調したごとく、人類が一つの家族となるようにとの思いを込められ、今日の世界の様々な状況を見つめられた。

まず、昨年行なわれたブラジル司牧訪問を回想された教皇は、ラテンアメリカ諸国が国内の緊張を克服し、福音の精神を中心に活かすことができるよう願われると共に、今年が教皇ヨハネ・パウロ2世のキューバ訪問から10周年であることを指摘された。

教皇はメキシコなど中央アメリカを襲った洪水被害を思い起こされると共に、同様にアフリカ、アジアなどの水害、ペルーの地震、また山火事など自然災害による深刻な被害を受けた国々のために祈られ、このような被災地への国際支援を促された。

続いて、憂慮される状況の続く中東に目を向けられた教皇は、アナポリスの中東和平国際会議が当事者すべての権利を尊重する解決策の模索のしるしとなったことに喜びを表され、イスラエルとパレスチナの双方が、再び動き出した和平プロセスの機会を失うことがないように希望された。

教皇はまたレバノンの大統領選出について国民が自由に自分たちの将来を決めることができるよう、イラクにおいては急務である和解と、キリスト教徒を含む難民たちへの援助がなされるよう、さらにイランの核計画問題には相互の信頼に基づいた外交努力を続けるよう願われた。

教皇はアジアでは特に、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ、ミャンマーなどの状況に言及され、暴力を排し、すべての人の権利が尊重される平和的社会の構築を祈られた。

さらにアフリカでは、ダルフール地方、コンゴ民主共和国、ソマリア、ケニアなどにおける闘争を深く憂慮され、武力闘争を中止し、人道支援への道を開き、和解と正義、平和の構築に取り組むようアピールされた。

ヨーロッパでは、バルカン諸国の発展を喜ばれると共に、特にコソボの平和と安定を願われた。

このように、国際情勢を展望された教皇は、世界に安定を保証するには秩序と権利が必要だが、これらの権利が創造主から来る自然権利に基づいてのみ、それは真の平和の力となりうるだろうと述べられた。こうした意味からも、教皇は共通善の追求と平和と発展のための、異なる宗教・文化間の対話の推進に期待された。

教皇は世界人権宣言が今年60周年を迎えることに触れながら、カトリック教会は人権が宣言されるのみならず、それが完全に適用されるまでたゆまぬ努力を続け、人間の尊厳を保護していきたいと述べられた。

今日、生命が様々な攻撃から脅かされている中にあって、教皇は生命倫理の最前線は科学と倫理の間の選択ではなく、科学の倫理的使用にあると指摘された。また教皇は国連が死刑執行停止を求める総会決議を採択したことが、人間の命の聖なる性格を論議するきっかけとなるよう祈られた。このほか人権のテーマとして教皇は、社会の基礎である家庭の保護と、信教の自由を訴えられた。

平和は単なる言葉でもあこがれでもないと述べた教皇は、平和とは食糧や水、エネルギー、薬や技術、あるいは気候変動の管理など、誰もが正当に必要としているものを満たせるようにとの努力と生き方であり、こうしてのみ人類の未来を築くことができるだろうと説かれた。

最後に、教皇は世界の安全のために各国はテロリズムや大量破壊兵器を排するよう促すと共に、北朝鮮の核武装解除をめぐる合意や、通常兵器削減などの努力を期待された。

「外交はある意味で希望の技術です。外交は希望を与えるものでなくてはなりません」と教皇は大使らを励まされ、各国の国民に神の恵みと平安を祈られた。







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