2007-11-30 18:16:44

「スペ・サルヴィ」キリスト教的希望についての教皇回勅発布


教皇ベネディクト16世は、使徒聖アンデレの祝日を迎えた11月30日、回勅「スペ・サルヴィ」を発布された。

「スペ・サルヴィ(意味:希望によって救われた)」は2006年1月に発表された同教皇の最初の回勅「デウス・カリタス・エスト(邦題:神は愛)」に続く、第2の回勅となる。

「私たちは希望によって救われているのです(スペ・サルヴィ・ファクティ・スームス)」という聖パウロの言葉(ローマの信徒への手紙8,24)で始まるこの回勅を通し、教皇はキリスト教的希望についての教えを示されている。

全文は50章からなり、その内容は「序章」「信仰とは希望である」「新約聖書と初代教会における信仰に基づいた希望の概念」「永遠のいのちとは?」「キリスト者の希望は個人主義的か?」「現代におけるキリスト教信仰=希望の変化」「キリスト教的希望の真の姿」「希望を学び鍛える場」「希望の星、マリア」の各部に分かれる。

キリスト教信仰にとっての贖い・救いは単純なものではなく、贖いとは私たちが現実に立ち向かえるだけの信頼に値する希望を与えられたという意味においてもたらされるものであり、それゆえキリスト者の特徴は「未来に希望を持ち…彼らの人生は虚無のうちに終わらないと知っている」ことであると教皇は記されている。

福音は単に知識を伝えるものではなく、物事を生み出し人生を変えていくものであるという点で、キリスト教のメッセージは「情報的」だけではなく「実行的」であると教皇は指摘し、希望を持つ者は新しいいのちを与えられた者としてこれまでと違う生き方をすることになると述べている。

「真の神を知ることは、希望を受け取ること」「生ける神との出会いは、苦しみよりも強い希望との出会い」であることを教皇は初代教会のキリスト者や、後代の聖人の信仰に見出されている。

一方で、現代の信仰の危機は、キリスト教的希望の危機であると見る教皇は、現代の人々は失われた楽園を信仰によってではなく科学技術の進歩によって取り戻そうとしているとし、現代人の希望は「発展における信仰」「理性の王国」に基づくものと指摘されている。

これに対し教皇は、「人は科学を通して贖われるのでなく、愛を通して贖われる」のであり、「あらゆる失望に打ち勝つ人間の偉大な希望は、私たちを愛され、最後まで愛し抜かれる神だけである」と強調されている。

祈り、行動、苦しみ、最後の審判に対する信頼を通して、希望を学び鍛えるよう教皇は信者らを招かれると共に、「キリスト者の希望は常に本質的に他の人々のための希望でもある」と、自分個人の救いだけでなく、他の人々の救いについて何ができるかを問うべきと説かれている。

教皇は、最後に「希望の星、マリア」への祈りをもってこの回勅を締めくくられている。







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