2006-01-25 17:28:00

ベネディクト16世初回勅、「デウス・カリタス・エスト」神は愛


教皇ベネディクト16世の初めての回勅「デウス・カリタス・エスト(神は愛)」が、2006年1月25日、発布された。

同回勅は、教皇によって2005年12月25日、主の降誕の大祝日に署名され、聖パウロの回心の記念日で、キリスト教一致祈祷週間の最終日であるこの日に発布の運びとなった。

「神は愛です。愛にとどまる人は、神の内にとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます」ヨハネの手紙一(4、16)の言葉で始まるこの回勅は、キリスト教的愛をテーマとしている。

神の名が時に復讐や憎しみ、暴力にまで結び付けられる世界にあって、愛なる神を説くキリスト教のメッセージは時代に即した大きな意義を持っている。

回勅の内容は2つの部分に分けられる。

第1部では神の人間に対する愛、また神の愛と人間の愛の固有の関係について本質的な論拠を明らかにしながら、「愛(アモーレ)」の概念をめぐって、「エロス」「フィリア」「アガペ」といった様々な次元における神学的・哲学的考察を行っている。

また、第2部では、神の愛に基づいた隣人に対する愛をテーマに、キリスト者と教会に与えられた愛の掟の具体的な実践について触れている。

教皇は、この回勅発表に先立つ1月18日、一般謁見の席でその内容の一部を解説された。

「今日の言語学では、愛はしばしばキリスト教の愛からかけ離れているように見えるが、この回勅ではで多様な側面を持った唯一の運動として愛を示した」と、教皇は述べられた。

たとえば、「男女間の愛の恵みとしてのエロスは、創造主の善を同じ源とするものであり、他人のために自分自身を捨て去る愛としての可能性をも持っている」。

そして、「二人が真に愛し合い、自分自身や個人の喜び、楽しみをもはや追求せず、特に相手の幸せを求める時、エロスはアガペとなり」、さらに「このエロスは、清められ深められながら、カリタスへと変容し、それは自分たちの家庭へと開き、さらにはもっと大きな家族、すなわち社会や教会、世界へと開かれていく」と教皇は説明された。

また、教皇は、私たち一人ひとりに与えられる神の働きは、ただ一つの愛の働きであり、この唯一の愛の働きは、教会の組織的な働きとしても表されるべきであることを同回勅の中で明らかにしたと述べられた。

そして、「もし、教会が真に神の人間に対する愛の表現であるとするならば、教会を創り、一致させ、永遠の生命と世界における神の現存への希望を与えるという信仰の基本的な働きは、教会としての働きをも生み出すはず」であり、教会も、教会・共同体自身として愛を行うべきと話された。

さらに、「いわゆるカリタスとは、私たちを創造された神ご自身の愛の深い働きの表現」であり、私たちをご自分に似たものとされた神は、愛である神の姿を映すもの、すなわち愛へと、私たちの心を向かわせると強調された。

教皇は時間をかけてできあがったこの回勅が、キリスト者の生活を照らし、助けるものであるようにと願われている。








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